「レッドタートル ある島の物語」とは
スタジオジブリとオスカー監督による、詩情と哲学と奇跡が詰まった大人のアニメ
第73回アカデミー賞短編アニメ賞に輝いた『岸辺のふたり』などのマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が手掛けた無音アニメーション。嵐で大海原に放り出 されて無人島に漂着した男が、その後どのような運命をたどるのかを活写する。
『かぐや姫の物語』などの高畑勲監督やプロデューサーの鈴木敏夫がスタッフに名を連ねた。
原作は無い模様。
レッドタートルあらすじ
吹き荒れる嵐の中、海に投げ出された男が、かろうじて生き残ったものの波に乗って見知らぬ無人島に流れ着く。彼は何度も力を振り絞って島から出ようとする が、その度にまるで見えない何かに操られるように島へと連れ戻される。万策尽きてしまった男の前に、ある日、一人の女性が姿を現し……。
レッドタートルあらすじ、結末、ネタバレ
これから見る予定の方は、読まない方がいいかもしれません↓ご注意。レッドタートルを1行でいうと
「無人島でのある男の暮らしを描いた映画」いや、もう、簡略化しすぎて何がなんだか(笑)
でも、かなり引きで感情が入らないように描かれている気がします。顔のドアップなどは一切なく、表情も乏しい感じ。
レッドタートルを3行で…
無人島に漂着したひとりの男が、筏で島から脱出を試みるが、ウミガメによって阻止され、ウミガメを殺す。ウミガメの中から何故か女が出てきて、子供が生まれ、子供が海へ旅立つ、という話。
レッドタートルのちょっと詳しいあらすじ
遭難した男が流れ着いた島から脱出を試みる
荒れ狂う海に投げ出された男が、島に流れ着く。島を探検して、果物や竹を見つけ、イカダを組む。
海に乗り出したが、海中から「何か」に突き上げられて、筏はこっぱみじん。
筏を大きくして何度も試みるが、沖に出たところで「何か」にぶつかって筏を壊され結果は同じ。
赤ウミガメとの出会いとその死
ある日、その「何か」の正体がわかる。男と海中で顔を合わせたのは、大きな赤いウミガメだった。
また島でいかだを組んでいると、浜にあの赤いウミガメを見つけた。
男は怒り心頭で、亀を棒きれで叩き、ひっくり返して放置した。
ひっくりかえった亀は動けない。
そして、そのうちに動かなくなる。
罪悪感と後悔の念の駆られ、亀に水を掛けるが動かない。
女との出会い
しばらくして、亀を見たら、甲羅から手足と頭が出て、赤い長い髪の女になっていた。甲羅に亀裂が入り、女が出てくる。
男が、木と草で日差しを遮り、水を与えると、女が目を覚ました。
目覚めた女は男を警戒する。
男は女とコミュニケーションを取りたがるが無理強いはしない(Gentleman!!)
やがて女は自分が包まれていた殻を海に流す。
それを見て男も作りかけだった筏を海に流す。(島で生きることを決意)
もはや男は孤独ではなくなった。
島での生活と津波
そして、男はその女と一緒に暮らし始め、ふたりの間に男児が産まれた。たくましく成長した息子はこの島だけではエネルギーが抑えられないかのように駆け回る。
青年になった息子と男と女が、浜にいると海鳥が今までにないくらい騒ぐ。
沖をみたら津波が迫っており、島は津波に飲まれてしまう。
息子が気がつくと、一緒に逃げた父母がいない。
島を探し母を見つけるが父がいない。
息子の「同胞」であるウミガメたちの案内で沖まで父を探しに行く。
流木につかまり漂流していた男は力つきて溺れかけるが、息子が救い出し、連れ帰る。
(息子の成長。親父超えのシーン?)
三人で島にある木々の残骸を焼いて、また季節が過ぎる。
息子の旅立ちと男の死
青年は、海の向こうに思いを馳せるようになる。両親は止めない。
やがて息子が海の向こうに旅立つときが来て、同胞であるウミガメたちと泳いで島を離れていく。
またふたりになった男と女。 もう初老のふたり。
浜辺側の森に少しずつ木々が戻り、平穏な時間が過ぎる。
老いた男は夜間にふと目を覚まし、何度も見続けてきた水平線を最期に眺める。
そして、男は海を見ながら逝ってしまう。
虫の音が止み、女はこと切れた男に気づく。
女は悲しみ、赤い亀になり、島を去り、海に帰っていく。
THE END
レッドタートルの私的解釈
えっと、おそらく監督がインスピレーションで作ったものなので、解釈もなにも、何かのメタファーとかも本当は無さそうですが。。彼女は何者なのか?
どこから来たのか
どこへ行くのか
いのちは?
人魚姫ならぬ赤海亀姫という解釈
赤ウミガメが、海中で出逢った男に一瞬のうちに恋をして、男の島脱出を阻止。しかし、殺されてしまい、男の後悔がウミガメの想いを成就させて、人間に変身。
そして、ふたりの間にできた子どもは成人し、海へ旅立っていく。
切ないラヴストーリー?!でなく無償の愛かもしれないが、 筏のシーン以外にウミガメが男を下から突き上げるのは、津波に飲まれた男が力尽きて海底に沈みゆくのを救おうとしたときだけだと思うので、赤ウミガメは男の無謀な筏での脱出を阻止し、男の命を救おうとしたのでは?
ノアの方舟、浦島太郎、人魚姫、鶴の恩返しなんかを組み合わせた感じ ですかねぇ。
男の妄想という解釈
男は、無人島で力尽き死ぬ。死の間際に走馬灯のようによぎった妄想を映画化。
ジーっと見てないとわからないかとおもうんですけど、ボロボロだった主人公の上着が、赤い髪の女に着せる前に新しくなっているような気がするんです。
なので、そこが生と死、現実と妄想の境界線かな、と。
亀息子はどうなる…?
溺れそうになっていたのに、母亀の合図で急に泳げるようになったり、亀と友達だったりすることを伏線と考えると、息子は亀と人間のハーフ(最近はダブルとも言う?)のよう。亀と一緒に島から泳いで出て行き、亀になることを選ぶのか、人間として他の島で暮らしてみるのか、この亀息子には、「おおかみこどもの雨と雪」みたいな展開が待っているのかもしれないですね。
男の夢は何の伏線?
男は3回ほど夢を見ます。島で死ぬ夢だったり色々です。その後、その夢が男の直後の行動に影響を及ぼす(島で死にたくないのでイカダを作り直すとかする)ことはあっても、後々に、「あ~、あの夢が伏線だったのか!」みたいなことは見終わってからもありませんでした。そもそも、この映画自体が、理不尽な人間の一生そのもののメタファーなのかもしれず、解釈は見る人によって異なるので、夢は伏線では無いようです。
こどもと見てたら子供はかなり退屈でしょうし、当直明けの主人も爆睡するほどの映画だと…
まぁ、いろんな解釈があるので。