リトドリン(ウテメリン)点滴半減期と張り返し

 リトドリンの点滴終了時期とはりかえしに関して、もう次の妊娠はしないと思うけど備忘録。


ウテメリンの点滴をやめるのはいつ?

34週か、35週か、36週か、それとも、胎児の発育が悪ければ37週かもしれないが、重篤な副作用がなく、早産にならなければ、張り止めとして使用していたリトドリン点滴を計画的に抜く日がいずれはやって来る。
厳密に言えば、妊娠35週以下又は推定胎児体重2500g未満の切迫流・早産が投与対象なので、36週0日の時点で診察を行い、推定体重が2500g以上あれば、保険適応外となるので、中止しなければならない。

はりかえしはある?ない?いつから?

点滴終了時に、多くの切迫早産入院中の妊婦が気になるのは、はりかえしではないだろうか。
私みたいに1A40mlの妊婦も、30ml/hrという開始基準値の妊婦も15ml/hrという、本当に必要なの?と言いたくなるくらい低容量の妊婦も、マグセント併用の妊婦もみんな、張りかえしはいつからだろう、何時間後からだろう、どれくらいの期間続くのだろう、と心配するのは当然だ。
ただ、ネットを見ても、あまりにも経験的な情報しか得られなかったので、薬物動態的な情報を退院後だけど調べてみた。

ウテメリンの薬の効果が切れるのは何時間後?

情報提供先は、ウテメリン注50mgの製造元 キッセイ薬品工業株式会社
やっぱり、本家大元はきちんと情報提供している!素晴らしい。リトドリン注、ウテロン注はジェネリックだけど、ほぼ作用は同じはずです。

薬物動態

1.
血中濃度2)
 本剤を健康成人5例に注入薬量100μg/分で1時間点滴静注した際の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。


健康成人に1時間点滴静注(100μg/分)した際の薬物動態パラメータ
Tmax(hr) Cmax(ng/mL) AUC(ng・hr/mL) T 1/2(hr)
0.67 31.7 52.62 0.15及び4.66


2.
尿中排泄2)
 本剤を健康成人に注入薬量100μg/分で1時間点滴静注した際,投与開始から48時間以内に投与量の50%が尿中に排泄され,そのほとんどは12時間以内に排泄された。
簡単に解説すると、妊婦が健康成人かどうかは置いといて、
半減期は4.66時間なので、外して5時間後には血液濃度(効果)が半分になる。
12時間経つと血液中の薬剤のほぼ半分が尿から体外へ排出される。
もし、内服切り替えに失敗しても、急いで点滴を再開して約40分(0.67hr)耐えれば必要な血中濃度に戻せる

5時間の壁、12時間の壁

薬物動態からみると、朝抜いて、ささっとシャワーする位だったら血中濃度もまだ保たれててどうにかなりそう?抜いてすぐにNSTしてもあんまり意味ない。
抜いて5時間の壁、12時間の壁が存在する。
5時間の壁に引っかかると、点滴抜いてからシャワーしたりNSTしたりバタバタしてるうちに生まれる。
12時間の壁に引っかかると、点滴抜いた夜に 生まれる。
24時間の壁を超えてしまうと、退院後の安静度と退院時のNSTの張り具合によっては予定日を超えるツワモノも。
もちろん、点滴濃度が高いほど落差が大きく、張りかえしが強い(理論上は)

経験的には5時間後(おやつ時)くらいから、14時間後(眠前の薬飲む前)くらいがピークで、それを超えたらなんとか眠れて、朝になったら、張ってるけど、点滴してる時と変わらないくらい楽になってた。
点滴抜いてから12時間経つと薬の半分以上が尿中に出ちゃうから、初乳にはほぼ入らないんじゃないか? と推測。

点滴から内服薬への切り替えは?何錠飲むの?

内服薬(ウテメリン錠、ルテオニン錠など)への切り替えは、メーカー側が添付文書に
1回1錠(リトドリン塩酸塩として5mg)を1日3回食後経口服用する。なお、症状により適宜増減
と記載している以上、それ以上を患者に盛って、患者や胎児に副作用が起きても、メーカーは知りませんよ~、処方医の責任で増やしてよね、ってことなので、5mg×3回、多くても4回くらいになるでしょう。処方医の判断に従って下さい。

研究機関を兼ね備えた病院や大学病院なら(保険的にも)もうちょっとイケるみたいだけど、私は4回飲むように指示されてました。
昔は信念を持って多めに飲ませてる先生もいたみたいだけど、ここ10年位の論文の流れとしては
内服薬の効果は
内服せずにトイレ、食事、シャワー以外ごろごろしている人と差が見られない
って感じ。

もちろん、切迫早産って言われても上の子抱っこしたり(腹圧上がる)、仕事に行ったりしているような妊婦さんには、内服はそれなりの効果があると思いますが・・・

もし、超絶ダラダラできる環境にあれば、内服と同じくらい効果的ってことですかね。