胎動とADHDは関係する?関係ない?

胎児の胎動が激しすぎるので胎動とADHDが関連するのか論文検索してみました。

ADHDと胎動の関連は証明されている?

調べてみたが、意外にも、ADHD(注意欠陥多動性障害)と胎動の関係に言及する論文は少ない。
一番新しいのがコレみたい。
男児の停留精巣と注意欠陥多動性障害の原因として疑われた,妊婦が服用したビタミン剤に添加されていたButylated Hydroxyanisole
Author:加藤 純二(宮千代加藤内科医院)
Source: 加齢医学研究所雑誌 (1340-3397)52巻1~2 Page21-25(2001.01)

母親は34歳,妊娠12週~出産後1ヵ月までの約7ヵ月間,妊産授乳婦用ビタミン・鉄・カルシウム剤(PS錠)を1日4錠服用していた.PS錠には脂溶性ビタミンの酸化防止剤として,1995年に内分泌攪乱物質である可能性が報告された標記BHAが添加されていた.男児は妊娠中から胎動が強く,1歳10ヵ月時に片側停留精巣摘出術を受け,小学校入学後に注意欠陥多動性障害と診断された.本例では他の3子の妊娠時にはPS錠を服用せず,3子に異常を認めないことから,男児の障害が妊娠中に摂取したBHAによる可能性が高いと考えられる
残りの3人の子供の性別もわからないし、準高齢出産など他の因子も考慮すると、BHAが原因とも言いがたい、評価が難しい論文。
これだけでは、医学的に関連があると証明されているとは言いにくい。
(もちろん、全く関係ないとも言えない)

医療従事者として働いていて、知識としてあるのは、

ADHDなどの自閉症スペクトラムに関連する遺伝子は優秀な遺伝子と紙一重。
遺伝子座において、本当に近くにあるらしい。(これは大学の講義で聞いた)

史実においても、ニュートンみたいな変わった人間は、優秀なのだ。
それに、経験上、ADHD等で療育を受けている子どもたちには、兄弟で通っている、親が医師や社長や研究職が多い。

遺伝子→ADHD
or
遺伝子+母体中もしくは生後の環境因子→ADHD

の2通りあるのだろうか。
グレーゾーンもあるからややこしい。

ただ、児童精神科によっては、ADHD等の初診で「胎動は激しかったですか?」という項目を盛り込んでいるクリニックもある。
出生前からADHDとして育って生まれてくるという前提の質問である。

これを聞いて、ADHD児を抱える母は、自分の育て方が悪かったせいではないと安堵し、胎動が異常に激しい胎児を抱える妊婦は落胆する。

うちの子は胎動激しかったけど大丈夫だったよー、と掲示板に堂々と書き込んでいる親の子供は成人してからアスペルガー症候群と診断されるかもしれない。

正解は最後まで分からない。

ただ、障害の可能性があるなら、現実から目を背けずにできるだけ早く療育を進めたい。
軽度なら、早期療育で社会生活の幅が広がるし、重度なら、その人生の中でベストを尽くせるようにサポート出来る。
3歳位にならないと、検診で引っかからないから見つかりにくいけど、親が変だ!と思ったら、やっぱり変なのだと思う。

でも、療育通うのとか本当に面倒だと思うから、この激しい胎動で覚悟はしてるけど、ADHDじゃないほうがいいんだけど。

落ち着いたら下記論文入手して読もう!覚え書きしとく。
発達障害はいつ形成されるか?先天性?後天性?あるいは両方か 発症および病態修飾のメカニズムについて 環境と遺伝の相互作用
Author:杉江 陽子(浜松医科大学 小児科)
Source: 脳と発達 (0029-0831)47巻3号 Page225-229(2015.05)

発達障害は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder;ASD)、注意欠陥/多動性障害(attention deficit/hyperactivity disorder;AD/HD)、学習障害(learning disabilities;LD)のいずれも単一の疾患というより症候群的要素の強い疾患群である。その原因は単一ではなく、発症には遺伝が関連していることは多くの研究からも明らかであるが、同時に環境要因も発症に影響を与える重要な要素である。遺伝と環境が相互に作用することにより、発達障害の発症あるいは症状の修飾に影響しているとの観点から、以下の項目について紹介した。
(1)一般的な遺伝率と環境率、
(2)養育環境と遺伝子の影響、
(3)特定の遺伝子と特定の環境の相互作用、
(4)出生前および出生後の環境因子と遺伝子との相互作用、
(5)生化学・組織化学のレベルでの環境と遺伝子の影響について